科学技術イノベーション政策の共創
工学系研究科 技術経営戦略学専攻
少子高齢化や環境問題などの社会課題を解決し、持続可能な発展を実現するためには、科学技術のイノベーションが必要不可欠です。科学技術イノベーションを実現するためには、企業や生活者といった様々なステークホルダに対して思考や行動の変容を促すことが必要となります。例えば、私が取り組んでいる製造業のサービス化は、環境負荷の削減と経済活動の拡大を同時に実現するイノベーションの一つとして注目を集めています。サービス化において製造業は、顧客に対して製品の製造・販売を行うのではなく、シェアリングや、サブスクリプション、Pay-Per-Useなどにより製品機能をサービスとして提供します。これにより、資源効率の向上や新たな市場の開拓などが期待される一方で、その実現には、企業がサービスに適した組織、文化を構築することや、ユーザが所有から利用へ消費スタイルを変えることを促す必要があります。
このような企業や生活者の変容を促す上で、政策は重要な役割を果たします。そのため、科学技術イノベーション政策は、政府による一方向的な取り組みでなく、企業や生活者と双方向的かつ協業的に決定、推進することが重要です。言い換えれば、企業や生活者にも政策を共に創りあげるという意識と一定の知識、スキルが求められます。「政策のための科学」は、一部の政策立案者だけでなく、科学技術イノベーションを担う全ての人材を対象とし、共創的に政策を決定、推進するための理論や方法論を提供するものです。そのため、本プログラムは、公共政策大学院、工学系研究科を中心に様々なバックグラウンドをもつ学生、教員、実務家が参加し、分野横断的な知識を獲得するだけでなく、分野の多様性を踏まえたコミュニケーションスキルやマネジメント能力を身につけることを目的としています。更に、本プログラムの交流イベントを通じて、学内外の学生や修了生とのネットワークを構築して頂きます。皆様の積極的なご参加をお待ちしております。