ポリシープラットフォームセミナー
03.17.2015

【開催報告】NEOPS A04-2 第2回国際シンポジウム:国家管轄権外海域における生物多様性の管理


NEOPS A04-2 第2回国際シンポジウム/第31回STIG PoPセミナー
国家管轄権外海域における生物多様性の管理
Managing biodiversity beyond areas of national jurisdiction

日時:2015年3月17日(火)13時~15時
会場:東京大学本郷キャンパス 伊藤国際学術研究センター 3階中教室
言語:日本語/英語(日英同時通訳付)
主催:
科研費 新学術領域研究「海洋科学との接続性を考慮した海洋ガバナンスの構築」研究グループ(※「新海洋像:その機能と持続的利用」(NEOPS) 計画研究課題)
協力:東京大学科学技術イノベーション政策の科学(STIG)教育・研究ユニット

pdf_small Dr. Diz講演スライド Marine Bioregionalisation for Ecosystem
pdf_small Dr. Diz講演録 Transcript of Dr. Diz’s keynote lecture
【開催報告】
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松浦によるNEOPS A04-2班の概要紹介の後、WWF CanadaのDaniela Dizさんより、国家管轄権外における生態系管理のための海洋のバイオリージョナライゼーションに関する基調講演が行われた。講演では、第一に、生物多様性条約(CBD)の愛知ターゲット目標11に基づく海洋保護区(Marine Protected Area: MPA)について、オスパール条約や南極の海洋生物資源の保存に関する委員会におけるMPA指定状況や、同条約に基づく生態学的、生物学的に重要な海域(Ecologically or Biologically Significant marine Area:EBSA)の検討状況を題材に、バイオリージョナライゼーションとの関連で、代表性や接続性などの観点から、話題提供をいただいた。第二に、生態系アプローチによる水産資源管理の事例として、北西大西洋漁業機関(Northwest Atlantic Fisheries Organization:NAFO)における生態系ベースでの資源評価の実例をご紹介いただいた。第三に、国家管轄権区域外の海洋生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する問題を検討するための非公式特別作業部会(Ad Hoc Open-ended Informal Working Group to study issues relating to the conservation and sustainable use of marine biological diversity beyond areas of national jurisdiction: BBNJ)について、2015年1月の決議を踏まえ、バイオリージョナライゼーションなどの海洋科学が今後の政策形成に貢献する可能性についてお話いただいた。

次に、東北大学法学系研究科の西本健太郎先生より、Dizさんの講演に対して解説とコメントが提供された。条約体制における生態系アプローチの適用可能性を検討しているDizさんの研究の独自性を指摘したうえで、空間的管理を要求する近年の展開のなかで、バイオリージョナライゼーションを既存の条約体制にいかに位置づけるのかという課題を指摘されたうえで、オーストラリアの事例に基づき国内の海洋政策に対して適用する可能性を示唆された。
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最後にパネルディスカッションとして、Dizさん、西本先生、そしてオーディエンスの間で、今後のBBNJの検討における科学者の関わり方、公海におけるガバナンスの可能性などについて議論と質疑応答が行われた。

【プログラム】
13:00 – 13:15 開会挨拶/プロジェクト紹介(松浦正浩 東京大学公共政策大学院特任准教授)
13:15 – 14:00 基調講演:ダニエラ・ディッツ(WWFカナダ、上席研究員)
「生態系に基づく管理のための海洋のバイオリージョナライゼーション:傾向と課題、そして可能性」
Marine Bioregionalisation for Ecosystem-Based Management: Trends, Challenges and Opportunities
14:00 – 14:20 コメント:西本健太郎(東北大学大学院法学研究科、准教授)
「科学に基づく海洋ガバナンスツールとしてのバイオリージョナライゼーション」
Comment: Bioregionalization as a Tool for Science-based Ocean Governance
14:20 – 15:00 パネルディスカッション

お問い合わせ先:
東京大学公共政策大学院STIG事務局