今日、研究開発リサーチコミュニティが、自らの開発する技術のセイフティ・セキュリティの確保と社会影響(ELSI:Ethical, Legal and Social Implications/Issues)を意識して研究開発活動に取り組むことがますます求められています。学生を対象とした合成生物学に関する国際大会のiGEM(International Genetically Engineered Machine)では、コンペを通じて安全性(セイフティ)、セキュリティに取り組み、また、いわゆるELSIやRRIに関連するHuman Practiceの取り組みも展開して、プロジェクトの社会的な影響に対する責任について検討することを求めており、研究開発リサーチコミュニティのボトムアップの取り組みとして有用な事例と言えます。
この度、Dorothy Zhang氏(Vice President of Global Development, iGEM)による講演を踏まえ、(1)セイフティ・セキュリティ、ELSI/RRIにどのような活動が求められ、どのようにそれらを研究開発プロセスに埋め込めばよいか、(2)そのような活動が円滑に実施できるエコシステムを形成するには何が求められるか(人材育成・教育、ファンドなど)といった点について、関係者でラウンドテーブルディスカッションをおこないます。
これにより、合成生物学の社会実装において、いかにこのような活動をボトムアップに展開し、研究開発の上流から下流に至るまでのプロセスに埋め込むかについての示唆を得ることができればと思います。
日時:2024年 9月11日(水)午前(9:30-12:00)予定
会場:Zoomによるオンライン実施
※同時通訳あり!!
お申し込みはこちら(締切:開催前日の17時。前日にZoom URLをお送りします)
https://forms.gle/mkF6VSC2CyGpppEw5
Google formが利用できない場合は、STIG@pp.u-tokyo.ac.jpへ直接メール連絡ください。
【スケジュール】
9:30- 開会挨拶:城山 英明 東京大学 公共政策大学院 教授
———趣旨説明:松尾 真紀子 東京大学 公共政策大学院 特任准教授
9:40- 基調講演:Dorothy Zhang, Vice President of Global Development, iGEM および質疑応答
(小休憩)
10:40- パネルディスカッション
(1)セイフティ・セキュリティの確保、ELSI/RRIにどのような活動が求められ、どのようにそれらを研究開発プロセスに埋め込めばよいかー検討すべき事項と課題は何か等
(2)そのような活動が円滑に実施できるエコシステムを形成するには何が求められるかー人材育成・教育、ファンド、誰が関与すべきか、国際連携はどうあるべきか等
12:00- 閉会挨拶:本田 孝祐 大阪大学 生物工学国際交流センター 教授
【全体進行】
松尾 真紀子 東京大学公共政策大学院 特任准教授
【登壇者】
Dorothy Zhang, Vice President of Global Development, iGEM (slide pdf)
【ラウンドテーブルディスカッション 】
木賀 大介 早稲田大学 理工学術院 電気・情報生命工学科 教授 (slide pdf)
四ノ宮 成祥 国立感染症研究所 客員研究員 (slide pdf)
標葉 隆馬 大阪大学 社会技術共創研究センター 准教授 (slide pdf)
阿部 レイ 2023 iGEM Community Ambassador to Asia and Oceania (slide pdf)
齊藤 想聖 株式会社リバネス 教育開発事業部 部長 (slide pdf)
石塚 大輔 経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 課長補佐
【共同主催】
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の革新的GX技術創出事業(GteX)「多様な微生物機能の開拓のためのバイオものづくりDBTL技術の開発」(2023-2027年度)(研究代表:本田孝祐)・東京大学科学技術イノベーション政策の科学(STIG)教育・研究ユニット(STIG共進化プロジェクトSciREX共進化実現プログラム第IIIフェーズ「バイオエコノミーを目指したバイオものづくりの推進:政策課題の可視化と制度設計」(研究代表:松尾真紀子))
【共催】
Bio-Digital Transformation(バイオ DX)産学共創拠点」(プロジェクトリーダー:山本卓)
登壇者のご紹介:
Dorothy Zhang (Vice President of Global Development, iGEM) Dorothy has over 15 years of experience in leading both international and domestic NGOs focused on advancing life sciences. Through these organizations, she has created pivotal platforms for the exchange of knowledge, promotion of innovation, and education in fields such as molecular biology, genomics, and synthetic biology. Her involvement with iGEM and other global initiatives has fueled her passion for connecting with diverse groups worldwide. Together, they collaboratively address the challenges of our time, exploring biotechnology’s potential to offer inclusive and innovative solutions. |
|
木賀 大介(早稲田大学 理工学術院 電気・情報生命工学科 教授) 1999年 東京大学 大学院理学系研究科 生物化学専攻 博士課程単位取得退学。同年博士号取得。理化学研究所など各所でのポスドクの後,2004年東京大学助手,2005年東京工業大学助教授・准教授を経て,2016年より早稲田大学教授。 2006年、東工大と早稲田大で、合成生物学分野の学部生国際コンテスト ”iGEM” のチーム監督。 |
|
四ノ宮 成祥(国立感染症研究所 客員研究員) 2024年5月より現職。前防衛医科大学校長、医師、博士(医学)。専門は、微生物学・免疫学、分子腫瘍学、高圧・潜水医学、バイオセキュリティ。編著書は『生命科学とバイオセキュリティ デュアルユース・ジレンマとその対応』(東信堂 2013)、『Regulation of Signal Transduction in Human Cell Research』(Springer 2018)、『Hyperbaric Oxygenation Therapy』(Springer 2019)、『すぐに分かるCBRN事態対処 Q&A』(イカロス出版 2020)、『合成生物学は社会に何をもたらすか』(専修大学出版局 2022)など。 |
|
標葉 隆馬(大阪大学 社会技術共創研究センター 准教授) 京都大学大学院生命科学研究科博士課程修了。博士(生命科学)。総合研究大学院大学・助教、成城大学文芸学部・准教授などを経て、2020年4月より現職。専門は科学社会学・科学技術社会論・科学技術政策論。特に複数の先端生命科学分野をフィールドとしながら、先端科学技術における倫理的・法的・社会的課題 (ELSI) の可視化、メディア分析、コミュニケーションデザイン、政策分析などを組み合わせながら、複数のプロジェクトをPIとして幅広く研究・実践中。主著に『責任ある科学技術ガバナンス概論』(ナカニシヤ出版 2020) ほか論文など多数。https://researchmap.jp/ryuma_shineha/ |
|
阿部 レイ(2023 iGEM Community Ambassador to Asia and Oceania) 2023年3月早稲田大学先進理工学部生命医科学科卒業。早稲田大学在学時、学部1年から学部4年までPIの木賀大介先生のご指導のもと、iGEMの活動に参加。 2020年iGEM大会(オンライン)、2022年iGEM大会(フランス)にWaseda_Tokyoチームの一員として出場。 2023年1月より1年間iGEM Communityアンバサダーに就任。 学部卒業後、2023年4月より東京工業大学生命理工学系地球生命コース(一貫制博士)に進学し、現在在学中。 |
|
齊藤 想聖(株式会社リバネス 教育開発事業部 部長) 2012年、慶應義塾大学大学院薬学研究科修士課程修了。2021年9月から現職。株式会社リバネスに入社後、入社一年目から墨田区町工場全件調査と大学の研究成果を社会実装する事業「TECH PLANTER」の立ち上げに関わる。現在は、中高生などの次世代研究者の発掘や育成「サイエンスキャッスル」や次世代のための研究所「ADvance Lab」などのプロジェクトを主幹する。 |
|
石塚 大輔(経済産業省 商務・サービスグループ 生物化学産業課 課長補佐) 2022年5月15日より現職。2008年に経済産業省に入省後、省内の予算編成、電力業界の税制改正/会計、中小企業金融(政策金融)を担当。2015年から1年間米国Vanderbilt大で政策研究に従事した後、温暖化対策、競争政策を担当。 人事(人材育成)を経て、現職では、バイオものづくり(ホワイトバイオ分野)の政策支援を担当し、企業の社会実装を支援。 |
|
本田 孝祐(大阪大学 生物工学国際交流センター 教授) 京都大学農学部卒業後、2003年、同大学大学院応用生命科学研究科博士後期課程修了。博士(農学)。05年、大阪大学大学院工学研究科助教。10年6月、同研究科准教授を経て19年11月から現職。この間の11月4月から3年間、JSTさきがけ研究員も務めた。 |
|
城山 英明(東京大学 公共政策大学院 教授) 東京大学法学部卒、同助手、東京大学大学院法学政治学研究科講師、助教授を経て、東京大学大学院法学政治学研究科教授(公共政策大学院教授を兼務)。専門は、行政学、国際行政論、科学技術と公共政策。主要業績に、「国際行政の構造」、「中央省庁の政策形成過程」、「法の再構築Ⅲ科学技術の発展と法」、「国際援助行政」、「科学技術ガバナンス」、「政治空間の変容と政策革新①政策革新の理論」等がある。 |
|
松尾 真紀子(東京大学 公共政策大学院・未来ビジョン研究センター 特任准教授) 2020年4月1日より現職。現在、科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」教育・研究ユニット(STIG:Science, Technology, and Innovation Governanceプロジェクト)で、国際政治・公共政策学・リスク研究等多様な観点から科学技術と社会の交錯領域(食品安全、バイオエコノミー、国際保健等)におけるガバナンスやELSIにかかわる研究に従事。履歴・業績:https://researchmap.jp/makiko_matsuo |
集合写真の様子: