SciREXサマーキャンプ
07.06.2022

2022年度 SciREX サマーキャンプ 東大参加者を募集します!


◆趣旨
科学技術イノベーション政策における「政策のための科学」推進事業(SciREX 事業)は文部科学省の補助事業で、政策研究大学院大学(GRIPS)を「総合拠点」、東京大学・一橋大学・大阪大学/京都大学・九州大学を「領域開拓拠点」として、平成 23 年度に始まりました。それ以降、① 客観的根拠に基づく政策形成に携わる人材 ② 「科学技術イノベーション政策のための科学」という新たな研究領域の発展の担い手となる人材 ③ 政策と研究をつなぐ人材 を育成するとともに「政策のための科学」と関連する基盤的研究を推進してまいりました。SciREXサマーキャンプは、SciREX事業における「拠点間連携」の取り組みの一つとして毎年開催され、今年は、新たな試みとして各拠点の学生・修了生による実行委員会の下、サマーキャンプを企画しています。皆様の積極的な参加をお待ちしています。

◆全体テーマ 「多様な価値観と向き合う政策立案」
情報技術の発展、グローバル化、長寿社会、エネルギー問題…我々はいま、人々の生き方を変革するような大きなイノベーションや課題に直面している。それらに対応する政策についても、人々のライフスタイルに大きな影響を与えかねず、いかに人々の納得や了解を得るかがますます重要になってきている。そこで、多様な価値観や立場のアクターとコミュニケーション・参画を図りながら、科学的なエビデンスに基づいて立案・実行する方法について、実践的に検討することを目的に、本テーマを設定する。

◆開催概要
日時 2022 年 9 月 2 日(金)~9 月 4 日(日)
   ※8月中に別途事前学習を実施予定(オンライン)
会場 政策研究大学院大学 
※但し、感染拡大状況によってはオンライン実施に切り替える可能性があります。

主催 文部科学省科学技術・学術政策局研究開発戦略課 SciREX基盤的研究・人材育成拠点、SciREX センター
企画・運営 SciREXサマーキャンプ 2022実行委員会/九州大学 CSTIPS/政策研究大学院大学 GiST, SciREX センター
参加費 無料 ※旅費・交通費の支給あり
(但し、STIGに登録していることが条件: STIG申請登録は [こちらのフォーム] からいつでもできます)

言語 【オリエンテーション、最終発表】日本語⇄英語の同時通訳がつきます。
言語 【グループワーク】日本語で議論を行うテーマと、英語で議論を行うテーマがあります。2日目に予定しているグループ間交流(ポスターセッション等)の際には、各グループの使用言語で交流いただきます(同時通訳なし)。

参加登録方法 参加を希望される学生は、下記のフォームから7月15日(金)までにお申し込みください。

参加登録フォームはこちら


ご希望のグループテーマを言語の問題が無いかぎり、必ず3つ選択してください。ご希望を元に実行委員会でグループの割振りを決定しますが、ご希望に沿えない場合があることを予めご了解ください。メールアドレス等参加希望者の個人情報はサマーキャンプに関する案内・期間中及び終了後にサマーキャンプに関連した事務局からの連絡を行うために使用します。幹事校 GRIPS、共同幹事校九州大学の両校およびサマーキャンプ実行委員会で取り扱う旨ご了承ください。

◆タイムテーブル

※時間枠はあくまで便宜的なものです。
※グループワークの形式やオリエンテーションの内容など詳細は追って参加者にご案内いたします。
※2日目のグループ間交流については、開催時のGRIPS学内感染対策規定を踏まえながら今後具体的な形式を決定します。

◆グループワークテーマ一覧
参加申込時に、下記の10(日本語話者用)+3(英語話者用)のテーマから、興味・ご関心のあるものを3つお選びください。回答を踏まえて、グループの割振り・テーマの内容・スコープ・論点を検討いたします。下記に記載しているテキストはテーマの外縁を示す紹介文であり、実際のグループのメンバーの議論次第で、必ずしもこの説明の範囲のみに限定されるわけではないことをご理解願います。

1.高齢者支援の将来像とライフスタイルの変化
日本は2025年から2040年の15年間に現役人口(20歳ー64歳)が約1,000万人減少する一方で、2054年までに75歳以上人口が2,449万人まで増加すると推定されている。「超々高齢化社会」という未知の領域に突入しており、特に地方ではその端緒が顕在している。人口減少・少子高齢化の課題先進国として、日本はこの変化・問題をどう乗り切っていくべきか。労働人口の減少や財政・社会保障の基盤喪失等の問題に、サイエンス・テクノロジー・イノベーションをいかに活用するべきかを議論する。

2.多様な価値観に基づく脱炭素社会の実現
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言した。さらに2022年4月ニューヨークで行われた気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会報告書の発表に寄せて、国連事務総長が環境問題に関し深刻な危機感を表明して世界へ警鐘を鳴らした。国連IPCC報告書等のデータを読み解きながら温暖化の最大要因を確認し、ステークホルダー毎の認識の差異も踏まえて政策による改善案を検討する。

3.多様な価値観に配慮したエネルギー戦略
一次エネルギーの9割以上を他国からの輸入に依存している我が国では、今日の社会情勢の影響を受け、生活に関わる電気・ガソリン代は高騰を続ける。また、大半の原発が稼働を停止しており、再生可能エネルギーも主力のエネルギーとなるまでに至っておらず、電力不足問題も深刻になっている。持続可能性・環境への配慮・地域への影響・経済等多様な観点からエネルギー問題の解決策を検討する。

4.起業・スタートアップが変える、未来社会
個々の人、そして人が抱くビジョン、そして技術、資源。様々なリソースが新たに結合・融合することで誕生する新事業。新事業を社会へ展開するスタートアップは、これまでにも数数多の社会問題解決に寄与し、社会を変革してきた。昨今の日本では地方における地域活性化や多様性等のイシューとも関わりが深い。では、スタートアップがもたらす社会的インパクトをどのように捉え、いかに推進するべきか。推進にあたりどのような課題があるか。新興企業育成政策のあり方とはいかなるものか。新事業とこの主体となるスタートアップ、そして社会との関わりについて議論する。

5.データ利活用とその社会受容
データの利活用は私たちの生活の利便性を高めることが期待される一方、監視社会・社会の分断等マイナスの側面も指摘されている。データの利活用に関し、例えば2025年に大阪で開催が予定されている2025年日本国際博覧会でも、データ利活用の原則やガイドラインの策定が進められている。データ利活用を巡る状況やルールは進化し続けており、3年後かつグローバルな参加者を相手とする万博は、データ利活用の未来を考察する1つの題材となりうる。そこで、以下の問いについて議論する。
・多様なステークホルダーの意見をどのように反映させるべきか
・多様な価値観をもつ人々の意見をどのように反映させるべきか
・マイノリティの意見を汲み上げ、全体の意見に反映させることはできるか

6.Well-being向上のためのSTI政策
第6期科学技術・イノベーション基本計画では「一人ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」としてのSociety5.0の実現が目標とされている。well-beingは地方、ジェンダー、LGBTQ、難民移民、障がい、高齢者、途上国などあらゆる面で取り残されがちな人々を含めた幅広い概念である。well-beingが実現できた状態をどのように計測・評価するか、well-beingを向上させる政策とは何か、教育・地域・経済等の多様な観点から議論を行う。

7.多様な活躍を支える高度人材育成のあり方
イノベーション人材の育成を目的として、近年では博士課程の学生を増やすための政策が進められている。博士人材はアカデミアだけでなく、民間企業や官庁など社会の様々な機関で活躍することが求められているが、ポストが限定的であるのが実情である。高度な知識・技術をもつ博士人材が活躍し、社会に価値をもたらすために必要な政策的支援について提案を行う。

8.次の感染症に備えるための医療システム
新型コロナウィルス(COVID-19)は緊急時における医療体制・ワクチン確保・国民への行動規制・経済活動への配慮等さまざまな問題点を浮き彫りにした。日本の医療システムの実情と新型コロナウィルスへの対応を確認した上で、将来新たな感染症が発生したときに備えて医療システムの問題点を検討し、改善に向けて必要な政策について検討する。

9.健康長寿社会実現のための再生医療の在り方
高齢化が進む日本において、事故や病気等で損傷した組織・臓器を再生させる医療に注目が集まっている。well-beingの観点からも関心の高い技術であるが、ヒトの細胞を加工する以上、研究や検証、社会実装に際して医療倫理における問題をはらんでいる。再生医療に関する現状と課題を確認し、医療倫理面に配慮した政策提案の議論を行う。

10.多様性社会のための教育と生涯学習社会の実現
現在、多様な価値観・AIやデータサイエンス等の先端技術に対するリテラシー・グローバルなコミュニケーション等に対応するための教育機会が提供されつつある。今後、多様な社会問題に対応しイノベーションを創出して、well-beingを実現していくために望ましい教育(幼児・初等・中等・高等・生涯学習)体制について議論を行う。

11.Space Policy
Theme 1: Space technologies for the benefits of developing countries. What are the contributions of space technologies in ensuring sustainable development? Based on past successful examples, how to set up a domestic space program adapted to the realities of a developing country, rather than copying unadapted policies and practices adopted by leading space powers? Students would be provided with the cases of two or three countries and would be asked to propose a national space policy and a space development roadmap. In order to inform their decisions, they would be provided with detailed materials about past examples of more or less successful space programs in developing countries, to extract good and bad lessons (e.g. Indonesia, Vietnam, Chile, Philippines). Theme 2: Overcoming our societies’ over-reliance on space technologies. Space technologies are now tightly woven into the fabric of our societies and sustain most of critical national infrastructure. Any voluntary or involuntary disruption of the space infrastructure would lead to the collapse of financial, communication and transportation systems within hours, prompting the development of policies for space mission assurance. Students would be asked to assess our reliance on the space infrastructure, identify major areas of vulnerabilities and proposes policies to address them.

12.Citizen participation concept in policy making process
We are now facing significant challenges in STI policy. One of the most crucial points is knowing the actual policy making process and its problems in formulation and implementation. The policy making process is complex and challenging to understand by the actor outside the policy process. So if we can understand the process from the government’s point of view and analyze the problem, it will be one of the best ways to improve the policy process. Moreover, participation from citizens, people, or the social sector should be discussed more, for example, open or social innovation, to prepare for the different values in the current world. From two themes, both could be studied together as the actors in the policy making process. The discussion would be about their current role in the policy making process or how to improve their role in the policy making process.

13.Environmental Ethics
Commercial whaling is vital to the Japanese economy, but many catches have been made unsustainable for a long time, making whales endangered. Japan stopped commercial whaling after intense pressure from many countries, particularly the United States. The government altered its policy to increase the rights and acceptance of the program. It asked the global organization for permission to catch for research. The government attempted to send the message that it was working on studies for sustainable catching to return the commercial whaling. Japan changed its policy to stop many nuclear stations after the Fukushima accident and replace them with fossil fuels due to society’s decision. The topic will explore other views about issues of an atomic system for achieving environmental ethics. Japan’s forestry and timber trade policy showed the country’s focus on economic sustainability against environmental ethics. These three examples showed that the Japanese government tried to follow the environmental ethics roles and convinced the public opinion about their ability to achieve that. These three cases show that Japan still needs to focus on its issues and limitations to follow the global environmental ethics.

以上