ポリシープラットフォームセミナー
12.18.2018

【開催報告】産学連携セミナー・第71回STIG PoPセミナー/大学の研究活動と社会からの受け止め:エビデンスからわかる産学連携研究のあり方、クラウドファンディングの活用可能性


吉岡(小林)報告では、産学連携の研究活動に対する社会(公衆)からの受け止めについて、大規模なアンケート調査からの発見事実が報告された。調査結果からは、産学連携についての見解を直接に質問すると、肯定的に受け止められる傾向が強い一方で、事例の中に埋め込んだ場合には、産学連携についていくつか負の評価につながる要因があることが確認され、とりわけ、私的な利益につながることが負の受け止めを生み、社会的な過大を解決することが正の受け止めを生んでいたことがわかった。産学連携の推進のためには、関係者の金銭的な便益の設定をすることが政策のオプションとなるが、これは必ずしも社会との関係で良い選択肢ではなく、むしろ産学連携は社会に貢献するための手段であることを強調すべきことが示唆された。
網中報告では、大学の研究プロジェクトに対するクラウドファンディングを通じた支援意向について、上記のアンケート調査結果を使った分析結果が紹介された。それによると、個人的な関心と合致することもさることながら、研究成果の外部性(社会への貢献や国際的な知識になること)の大きさがクラウドファンディングを通じた寄付の意向につながっていることがわかった。基礎研究であってもクラウドファンディングを得る可能性が小さくないことを示唆するものであり、その金額の規模は決して大きくないものの、基礎研究を支える資金源として機能しうる可能性が確認された。【東京大学工学系研究科 特任助教 吉岡 徹】

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【概要】大学は社会からの信頼なしには成り立ちえない。どのような研究活動が社会からの信頼形成に寄与するのかについて、本学STIGプログラムの研究メンバーが行った最新の調査結果を報告し、そこからわかった、産学連携での研究促進のあり方、そして、クラウド・ファンディングを活用した研究資金獲得についての議論を行う。

■ 日時:2019年 1月16日(水)17:45〜19:15(注意:時間が変更されました)
■ 場所:東京大学本郷キャンパス 国際学術総合研究棟12階 演習室E
■ 言語:日本語
■ 参加:自由(無料)
■ お申込み:事前登録が必要です。こちらの フォーム から。
※登録フォームが開けない方は、メールにて、STIG@pp.u-tokyo.ac.jpまで所属、お名前をお知らせください。

【プログラム】
1.産学連携研究に対する社会からの受け止め:産学連携研究では何を目指し、発信すべきか?
(吉岡(小林)徹 東京大学大学院工学系研究科技術経営学専攻 特任助教)

2.学術研究に対するクラウドファンディングへの社会からの受け止め
(網中 裕一 東京医科歯科大学 産学連携研究センター)


【登壇者・略歴】
■ 網中 裕一
東京医科歯科大学 統合研究機構 イノベーション推進本部 産学連携研究センター URA

大学院修士課程在学中の2010年6月より東京医科歯科大学知的財産本部(現 産学連携研究センター)にてインターンを通じて産学連携全般の実務に携わる。大学院修了後、同部署の特任助教等を経て、2018年12月より現職。上記と並行して、2015年4月より、一橋大学イノベーションマネジメント・政策プログラム(IMPP)にて、クラウドファンディングを通じた研究費獲得の可能性について研究。直近の論文に「クラウドファンディングを利用した学術研究の研究費調達における物的・経験的/金銭的リワードの役割に関する実証分析」(『研究 技術 計画』誌)。

■ 吉岡(小林) 徹
東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻特任助教

2007年大阪大学大学院法学研究科法学・政治学専攻博士前期課程修了、2015年東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻博士課程修了。博士(工学)。株式会社三菱総合研究所、一橋大学イノベーション研究センターを経て2016年より現職。専門は、知的財産マネジメント、科学技術政策。直近の論文に「革新的な製品に含まれるデザイナー発の技術イノベーション」(『マーケティング・ジャーナル』誌)。

問い合わせ先:STIG教育プログラム事務局
STIG@pp.u-tokyo.ac.jp