04.10.2015

【開催報告】第7回健康・医療戦略ラウンドテーブル:マクロヘルスデータを通じた医療の質の向上


第7回(特別回)健康・医療戦略ラウンドテーブル

マクロヘルスデータを通じた医療の質の向上―さらなる保健システムの強化に向けて
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Photo: 慎 芝賢

日時:2015年4月10日(金)18:00~19:30
会場:伊藤国際学術研究センター地下1階ギャラリー1
参加費:無料
言語:日本語
主催:東京大学 科学技術イノベーション政策の科学(STIG)教育・研究ユニット
共催:明治大学国際総合研究所

【開催報告】
経済協力開発機構(OECD)のヘルスエコノミストである村上友紀氏は、東京大学公共政策大学院と明治大学国際総合研究所が共催で開催した「第7回健康・医療戦略ラウンドテーブル:マクロヘルスデータを通じた医療の質の向上」において、基調講演を行った。基調講演において、村上氏は、OECDにおけるマクロヘルスデータの収集と分析がどのようなものかを話した後、最新の調査結果、OECDの分析で何ができて何ができないかについて示し、最新の分析として高齢化の影響や医療の質、そしてSHA(いわゆる、システム・ヘルス・アカウント)に言及した。
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Photo: 慎 芝賢

村上氏によれば、OECDにおけるマクロヘルスデータの収集や分析が長い歴史のもと、各国政府の協力と支援があってはじめて洗練されたプロダクトとなっているという。明治大学国際総合研究所では、政府系の受託研究を数年にわたって実施しており、そこではASEAN地域におけるマクロヘルスデータの分析と収集が調査対象となっている。この調査は、先進国を対象とするものではなく、OECDの調査とは決定的に異なっており、また、調査の項目が数値的なものだけでなく、薬事制度や保険制度などの具体的な内容まで含まれている。そのため、OECDの調査や分析と比較しても各国間の比較をする際には相当の困難を要するのが実情である。
もう1つ、村上氏が残した知見として重要なのは、各国比較によってベストプラクティスの探求が進み、保健システム自体の強化が期待されるという点である。明治大学国際総合研究所の調査が目指しているのは、まさにASEAN諸国の保健システムの強化である。今回村上氏から示されたOECDの知見を踏まえて、着実に保健システムの強化に資する調査・分析を進めていきたいとの希望が示された。
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Photo: 慎 芝賢

グローバルヘルスの枠組みからも、開発目標の達成や疾病対策そのものの重要性はもちろんのこと、感染症の拡大などを契機に保健システム自体の強化について改めて関心が高まっている。OECDのマクロヘルスデータの収集や分析をベストプラクティスとして、新興国やその他の国々におけるマクロヘルスデータを活用した保健システムの強化に向けて、相手国との協力の在り方、誰がデータを収集して分析するのか、さらにはそのフィードバックの仕方などについてさらに議論が深まっていくことを期待してやまない。
佐藤 智晶(東京大学公共政策大学院 特任准教授)

<プログラム>
18:00-18:05 開会の挨拶と講演者の紹介
18:05-18:30 基調講演:
村上友紀氏(経済協力開発機構(OECD)・ヘルスエコノミスト・政策アナリスト)
18:30-18:40 休憩
18:40-19:10 パネルディスカッション
村上友紀氏(経済協力開発機構(OECD)・ヘルス・エコノミスト)
小沼士郎氏(在南アフリカ大使館・公使参事官/前外務省国際協力局国際保健政策室・室長)
大西昭郎(明治大学国際総合研究所・客員教授/東京大学公共政策大学院・特任教授
モデレーター 佐藤 智晶(東京大学公共政策大学院特任准教授/ブルッキングス研究所経済部局医療政策部門 客員研究員)
19:10-19:25 Q&A
19:30 閉会

お問い合わせ先:
STIG教育プログラム事務局
STIG@pp.u-tokyo.ac.jp