05.31.2024

第18回仮想政府セミナー/STIG国際シンポジウム「デジタル社会における参加型デザインとソーシャルイノベーションが果たす役割とは」


【イベント概要】
今年度の仮想政府セミナーでは、デジタル化が進む現代社会において参加型デザインとソーシャルイノベーションが果たす役割に焦点を当てます。参加型デザインは、個々のニーズや価値観を尊重しながら、共同で問題を解決する手法です。これにより、製品やサービスがより使いやすく、社会的な影響が最大化される可能性が高まります。

一方、ソーシャルイノベーションは、社会や環境の課題に対する革新的な解決策を生み出すプロセスです。デジタル技術の進歩により、情報やアイデアの共有が容易になり、多様なステークホルダーが協力してイノベーションを実現することが可能になりました。参加型デザインとソーシャルイノベーションが組み合わさることで、より包括的で持続可能な未来を築くための基盤が整います。

このイベントでは、デジタル化が進む社会において、技術革新だけでなく、人々が参加し合い、共に創造することの意味、そして可能性を探求します。参加型デザインとソーシャルイノベーションがもたらす影響を議論し、より良い未来を築くための具体的な手法やアプローチについて考えます。

日時:2024年5月31日(金)13:00~15:30
場所:東京大学 情報学環・福武ホール 地下2階 福武ラーニングシアター および オンライン(日英同時通訳付き)

会場アクセス:https://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/access/
申込は締め切りました。多くの方にお申込みいただき誠にありがとうございました。

参加者:一般公募 会場150名 オンライン500名程度、参加無料

企画・運営:
一般社団法人行政情報システム研究所 
東京大学科学技術イノベーション政策の科学(STIG)

登壇者:
・エツィオ・マンズィーニ 氏 ミラノ工科大学教授(キーノートスピーチ・パネリスト)
・古川 理沙 氏 (ひより保育園代表/プレゼンテーター・パネリスト)
・市川 文子 氏 (リパブリック共同代表/パネリスト)
・正木 弾  氏 (小田急WOOMS/プレゼンテーター・パネリスト)
・城山 英明 氏 (東京大学公共政策大学院教授/モデレーター)

セミナー詳細:
1.開会あいさつ【13:00-13:10】
 東京大学公共政策大学院  教授  城山 英明 
 一般社団法人行政情報システム研究所  理事長  畠中 誠二郎

2.キーノートスピーチ【13:10-13:50】
エツィオ・マンズィーニ氏 (ミラノ工科大学 名誉教授)
「コラボレーションの力」ソーシャル・イノベーションはいかにして難問を解決するのか(そしてそれは政策立案者やステークホルダーに何を教えるのか)

3.日本事例のご紹介 ~地域から始まるイノベーションの事例~【13:50-14:20】
(1) こどもがつくる地域社会
 古川理沙 氏(ひより保育園代表兼プロデューサー)
(2) サスティナブルな未来を地域で作る「座間市×小田急ウームズ プロジェクト」
 収集・排出・資源循環のサポート小田急WOOMS
 正木 弾 氏

—————- 休憩 ——————–

4.パネルディスカッション【14:30-15:10】
 パネリスト :エツィオ・マンズィーニ氏 (ミラノ工科大学名誉教授)
 市川 文子 氏 (リパブリック共同代表)
 古川 理沙 氏 (ひより保育園代表)
 正木 弾  氏 (小田急WOOMS)
 モデレーター:城山 英明 氏 (東京大学公共政策大学院教授)

5.Q&A【15:10-15:30】

6.閉会


※基調講演について:
「コラボレーションの力」ソーシャル・イノベーションはいかにして難問を解決するのか(そしてそれは政策立案者やステークホルダーに何を教えるのか)

どうすれば80億人、そして明日は100億人に尊厳ある生活を提供できるのか?地球と、地球を構成するすべての生態系を大切にするには?若者より老人の方が多い社会で、高齢者が尊厳を持って生きるにはどうすればいいのか?家族やコミュニティが崩壊しつつある社会で、若者はどのように成長できるのか?

スケールは違えど、また同じように異なる問題であっても、これらの問いに共通しているのは、難問を突きつけているということである。つまり、解決策のない問題である。より正確には、解決策を見つけるためには、与えられた概念的枠組みから離れる必要がある問題である。それは可能なのか?

ソーシャル・イノベーションは可能だと教えてくれる。これらの問題の難解な性質は、問題の捉え方や対処法を変えれば克服できるのだ。孤立した受動的な主体のための個別的な解決策を探すのではなく(これは、各テーマを市場の力に引き戻そうとするときの考え方であり、やり方である)、能動的で一緒に物事を行うことができる人々のための共同的な解決策を考え、実行するのであれば、個人の利益と地域社会や地球の利益を組み合わせることができる。

要するに、私たちが語るソーシャル・イノベーションは、そうでなければ解決不可能な問題を解決するためには、人間もまた協力することを決断できるという事実に賭ける必要があることを教えてくれる。

この会議では、このような枠組みにおいて、専門家であるデザイナーや政策立案者が、このような協力的な選択をより広く永続的なものにするために何ができるかに焦点を当て、これらの問題について議論する。



※エツィオ・マンズィーニ氏について

エツィオ・マンズィーニ(Ezio Manzini)氏は、イタリアのデザイン研究者。ソーシャルイノベーションとサステナビリティのためのデザインにおけるリーダー的存在であり、現在、ミラノ工科大学の名誉教授。同済大学(上海)および江南大学(無錫)においても客員教授。また国際的なネットワークであるDESIS(Design for Social Innovation and Sustainability)の創設者でもある。
マンズィーニ氏は、エリサバデザインスクールアンドエンジニアリング(バルセロナ)やロンドン芸術大学(ロンドン)など、世界中の大学で教鞭を執ってきた。代表作は、「日々の政治: ソーシャルイノベーションをもたらすデザイン文化」、「Design, When Everyone Designs」、そして最新著書である「Livable Proximity: Ideas for the City That Cares」など。
マンズィーニ氏はサービスデザインの普及にも貢献し、90年代にはミラノ工科大学でサービスデザインの修士プログラムを立ち上げ。彼の最大の貢献は、参加型デザインとソーシャルイノベーションの交点として「ソーシャルイノベーションのためのデザイン」(DfSI)を確立したこと。彼の主張する要点は、誰もがデザイナーであり、自分自身の暮らしたい社会をデザインする能力を持っているということである。この考え方は、世界中のデザイン教育に大きな影響を与え、新たなデザインの進路を示す教科書として広く受け入れられている。

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参加者:会場60名、オンライン176名