教員紹介

科学技術イノベーション政策を科学する

東京大学大学院 工学系研究科
技術経営戦略学専攻
准教授 西野 成昭

 皆さんもご承知の通り、科学技術が現代社会の一端を担っています。すなわち、科学技術の進展により生み出された新たな人工物、或いはシステム、方法が普及しイノベーションを引き起こし、我々の生活に豊かさをもたらしてくれます。そのような科学技術イノベーションを促進させる政策を、科学的根拠を持って評価し、設計できるような人材が必要不可欠ですが、そのためには文理の枠を越えたより広い視野をもって、物事を多角的に見ることが重要です。複雑化した現在では、ある技術が人工物として体現化していったん社会に出れば様々な側面を有します。これまでの縦割り型の専門分野で見ているだけでは、本質的な部分を見落とし兼ねません。例えば、原子力プラントを例に考えてみても、複雑巨大システムであるが故に、核分裂制御、蒸気タービン、放射線遮蔽、冷却技術、非常電源装置、耐震、津波対策など挙げればきりがなく、ある一分野の専門家の視点だけでは、全体像を見てマネジメントすることは非常に困難な問題の典型例です。広い観点から物事を考えることが出来る人材が、まさに今求められているのです。

 本教育プログラムは、公共政策大学院、工学系研究科、経済学研究科、法学政治学研究科、医学系研究科、情報学環・学際情報学府などを含む、研究科間の垣根を越えた横型の教育プログラムです。私は工学系研究科技術経営戦略学専攻の教員として、このプログラムに参画しています。これまで、マルチエージェントシステム、ゲーム理論、経済実験などの方法論を中心として、社会における技術の価値、人工物シンセシス、制度設計などの問題に対して領域にとらわれず学融合的な研究を行ってきました。本プログラムでは、それらに関連した基礎手法となる最適化手法や意思決定理論などを中心に、科学技術イノベーション政策を科学するために必要な数理手法の講義を担当します。皆さんと一緒に、科学技術イノベーション政策を根幹から深く考えていきたいと思います。積極的な参加をお待ちしています。