教員紹介

根幹にあるのは人間

東京大学公共政策大学院
特任講師 五十川 大也

皆さんはイノベーションという言葉から何をイメージするでしょうか。「新製品・新サービスの市場投入や新しいプロセスの導入等を通じて、社会的・経済的な価値を新たに創り出す活動」というのが一つの定義かもしれません。私は、何よりも「人間」が関わる活動であるという点が鍵ではないかと考えています。

ミクロのレベルでは、組織・企業の中でイノベーションを創出する人材やそれをマネジメントする人材の重要性が指摘できます。その中で、イノベーション実現の阻害要因が何か、イノベーションを促進するために他組織・他企業とどのような関係を築くべきか、という論点も出てくるでしょう。また、イノベーションの成果(例えば、新製品や新サービス)を活用するのもまた人間です。新製品・新サービスに対して消費者がどのような反応を示すのか、その結果としてどの程度の社会的・経済的インパクトが生じるのか、といった点はイノベーションを創出する側にとっても、科学技術イノベーション政策に関わる側にとってもまさに関心となる部分です。イノベーションの成果が他の組織、市場、産業にどのように波及していくかという点も議論としてあるでしょう。さらには、政策形成のプロセス自体も様々な主体の思惑が交錯するために複雑かつ非効率な状況に陥る可能性があります。科学技術イノベーション政策についてエビデンス(科学的根拠)に基づいた議論・検証を行うだけでなく、それをいかに現実の政策形成過程に活かしていくかという視点が重要です。

STIGは、政策形成人材、科学技術イノベーション政策研究人材、研究開発マネジメント人材の育成を目的としています。イノベーションの根幹にあるのが人間・人材であることを踏まえると、STIGのミッションは今後のわが国の成長とダイレクトに関わるものだと言えるでしょう。

私は経済学の面からイノベーション成果の定量化やイノベーション政策の評価に携わってきました。経済学とは人間の行動・意思決定を探求する学問と言い換えることができます。プログラムを通じて、皆さんと一緒に科学技術イノベーションと我々の関わりについて考えていければと思います。